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電気メス考

今日の少し難しい手術で、以前から使用している高級な電気メスの、これまた一寸特殊な電極を使ってみた。結論から言うと素晴らしい製品。

やや大げさに言うと、今まで簡単にはできなかった手術が相当安全に出来るようになった、とさえ言えるほど素晴らしい。

手術中に出血を止める方法としては、糸で結ぶ方法、電気で焼く方法、特殊な超音波を使って固める方法などいろいろな手段があるが、機器の性能は日進月歩。内視鏡とか腹腔鏡での困難な状況で使うために開発された機器を開腹手術で使用すると、普通の手術は一層安全に行える。

自動車のブレーキの場合でも、ABSがあるのと無いのとでは車のコントロールが全然違うように、手術にも最新の機器を活用することが安全性の向上に必須であると痛感される。

文明の利器を活用することによって手術の安全性は飛躍的に向上すると実感されるわけだが、もちろんこれは、下手な手技を機械でカバーするという意味ではない。十分なコントロールのできない人が機械力だけに頼ったのでは絶対に安全な手術などできっこないのである。

開腹手術とは一寸異なる分野になるが、一番電気メスの進歩を実感できるのは内視鏡的乳頭切開という手技。私がこの手技を始めた頃は物凄く微妙なコントロールが必要で、やや大げさに言うなら薄氷を踏む思いであった。しかし10年ほど前に特殊なコンピューター制御の電気メスが登場してから一挙にこの手技が安全になった。もっとも下手な人が安易に手を出しかねないという弊害も危惧されないではない。

当院では私が「新しもの好き」ということもあって積極的に最新の機器を導入しており、患者さんの安全性第一で手術を行っているので、患者さん方はどうか安心していただきたい。
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コメント 1

NO NAME

感服。
医療のみならず、先端技術の利用は
コントロール能力あってこそ。
利の意義は便利、利用もあるが、
鋭利、利器もあり
正に文明の利器の二面性を喝破。
by NO NAME (2011-10-03 12:18) 

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